キルアのトラウマ
1、暗殺者か、ハンターか
前回、ゴンvsハンゾー戦でキルアはゴンとの差を感じていましたが、それが何なのかわからずにいました。
印象値、ハンターの資質、敵に気に入られることなど…触れたことのない価値観が大事にされている世界だったのです。
イルミに望んでいることを聞かれたキルアは、以下のように答えます。
「ゴンと…友達になりたい
もう人殺しなんてうんざりだ 普通に
ゴンと友達になって 普通に遊びたい」
(ハンターハンター第5巻 13頁)
それまでのハンター試験では、人を殺すことについて絶対の自信や余裕を見せていたキルアでしたが、口から出たのは「人殺しなんてうんざり」という言葉でした。
人を殺したくないというよりは、仕事として暗殺をさせられるのが嫌で、普通にゴンと友達になって遊びたいということでしょう。
ゴンと一緒にいることを望んだキルアに対して、イルミは真っ向から全て否定していきます。
「無理だね お前に友達なんて出来っこないよ
お前は人というものを殺せるか殺せないかでしか判断できない そう教えこまれたからね
今のお前にはゴンがまぶしすぎて測り切れないでいるだけだ 友達になりたい訳じゃない」
(同上 14頁)
イルミは、キルアの価値観を決めつけ、友達なんて出来るわけがないとまるで教え込むように話しています。
人を殺せるか殺せないかで判断するという考え方は、暗殺者としての倫理です。
弱々しくも「違う」と否定するキルアに、イルミは最悪の選択を迫ります。
2、友達を優先できるか
イルミは、キルアに「自分より友達を優先できるか」と迫ります。
友達のためにオレと戦えるかい?
できないね
なぜならお前は友達なんかより
今 この場でオレを倒せるか倒せないかの方が大事だから
(同上 20頁)
キルアが負けを認めなければ、イルミはゴンを殺すと脅しますが、勝ち目のない敵とは戦うなとも言い、キルアがまいったと言うしかない状況に追い込みます。
(キルアの選択については、今後かなり間を空けてわかることがあるのですが、今回は5巻の時点でわかったことのみ書いていきます。)
この時、イルミはキルアに大きなトラウマを植え付けます。
それは、キルアは「自分の身が危険に晒された時、ゴンを見殺しにするかもしれない」ということです。
そしてこの場面で描かれたキルアのトラウマは、自分より強い敵が現れるたびに表に出てくるようになります。
次に描かれるのは、幻影旅団を前にした時なので、次回はかなり飛ばしてヨークシン編を読んでいきます。
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