キルアとゴンの出会いから
キルアについて、気付いたことや気になったところを書いていきます。
1、ライバルであり、友達
キルアとゴンは、ハンター試験で初めて出会います。
キルア「ねェ 君 年いくつ?」
ゴン「もうすぐ12歳!」
「……ふーん 同い年…ね」
「?」
「やっぱオレも走ろっと」
(ハンターハンター第1巻 138頁)
最初から読んでみると、二人の出会いはキルアがゴンをライバル視するところからスタートしています。
キルアはゴンが同い年であることを知り、持ってきていたスケボーを使わず、あえてゴンと一緒に走ることを選びます。
ゴン「いつの間にか一番前に来ちゃったね」
キルア「うんだってペース遅いんだもん こんなんじゃ逆に疲れちゃうよな――――
結構ハンター試験も楽勝かもな つまんねーの 」
(同上 158頁)
キルアは息が切れているゴンを横目で見ながら、汗ひとつかかずにこんな台詞を言います。むかつくガキだな~と思わせますが、ゴンをライバル視しているがゆえの言動でしょう。
しかし、それと同時に、ゴンがキルアのスケボーを見てかっこいいとほめたり、逆にキルアがゴンの釣竿を見てかっこいいからあとで使わせてと言ったり、お互いに「かっこいい」と褒め合ったりもしています。
ここまでは、お互いを認め合う友達、そして時にはライバルとしての関係がスタートしているように描かれています。
2、「自分より友達」?
一方で、ゴンとキルアの考え方に大きな違いがあることもわかります。
レオリオがついに疲れて走れなくなった時、二人はまったく違った対応をします。
ゴン「レオリオ!!」
キルア「ほっとけよ 遊びじゃないんだぜゴン」
(同上 141頁)
ゴンは立ち止まり、キルアはそのまま先に行きます。レオリオはすぐに根性で立ち直りますが、レオリオのカバンをゴンが代わりに釣竿ですくいあげて持ってあげます。
これまでにも、ゴンは試験会場にたどり着くまでの道中で、船から投げ出されそうになった人を自ら飛び出して助けようとしたり、出会ったばかりの人に対しても見捨てたりしないという性格が繰り返し描かれています。
クラピカやレオリオもゴンと同じタイプで、船から飛び出したゴンを共に掴んで救出します。
自分を犠牲にしてまで他人を助けるということについて、なんの疑問も抱かず即座に実行するゴンに対して、キルアはそのようなタイプではないことがこの時点で読み取れます。
ヌメーレ湿原では、完全にゴンとキルアは先行し、クラピカとレオリオは後方にいました。ゴンがレオリオたちを心配していると、キルアが注意を促します。
キルア「ボヤッとすんなよ 人の心配してる場合じゃないだろ」
ゴン「うん…」
(中略)
「せいぜい友達の悲鳴が聞こえないように祈るんだな」
(同上 181頁)
レオリオとクラピカはキルアにとって友達じゃないのかと思わせますが、この後すぐにレオリオの悲鳴が聞こえ、ゴンだけが助けに向かいます。
キルアの冷たい対応によって、ゴンの「自分よりも友達を優先する」という価値観が強調されていると同時に、キルアはゴンと行動を共にすることで、ゴンのこの独特の価値観に触れていくことになります。
3、キルアとゴンの出会いからわかること
キルアは初登場シーンから、自分の力量を図ろうとしている様子が読み取れます。つまり、自分は同い年であるゴンより上か下かを見極めることです。そして、難しいと言われているハンター試験を本当の力を出すことなく余裕で合格することで、他人より優れているという満足感を得られると考えています。
一方でゴンは、道中での仲間に対する協力を惜しまず、自分の合格を後回しにしてまで友達を助けようとする様子が描かれています。
この二人の違いが、今後どう展開していくのか、次回続けて読んでいきます。
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